禁煙の森

さんの日記


訃報・2 2009-01-07 02:18:46
間違いなく龍二さんの声だった。

  今朝、龍二が亡くなりました・・・
  生前は、大変お世話になりました。
  特に入院中は何度も足を運んで頂き、家族一同感謝しております。

龍二さん本人が自身の死を告げる留守電メッセージに、鳥肌が立っていた。
その声は、今も耳の奥で木霊している。


1994年元旦。

夜遅くに、親戚回りから帰宅すると、留守電のランプが点滅を繰り返していた。
最初にそれを聞いた時、留守電は一体何を寝とぼけたことを告げているのか、何が起きたのか全く理解できなかった。龍二さん、正月早々悪い冗談は止めてよ。そう思った、そう思おうとした。
疲れ切っていたし、どうせ高校時代の悪友からの新年麻雀の誘いだろうと、明日回しにするつもりが、指が勝手に再生ボタンを押していた。
気が動転して耳鳴りがし、掌には汗が滲み、二度目の再生でも聞き取り難くかったが、やがて最初の瞬間に感じた通りの事態であることを悟った。

そして、その哀しくも穏やかな声は、間違いなく龍二さん本人のものだった。

  鮫島先輩が・・・
  龍二さんが・・・死んだ。

膝の力が抜けて・・・腰が砕けた。


「おーい、元。にいよんまる、乗るかー?」
Tバールーフのハンドルを握る龍二さんはいつも嬉しそうだった。
一瞬で40km/hに達する加速感を俺は助手席で何度も味わった。

成田の入管から一歩外に出たら、正面に見覚えのある顔。
驚いて目が点になった。
初めての海外出張から帰国した俺のフライトを調べて迎えに来てくれたらしい。
「元には仕事で世話になってるからな」
嬉しかった。
迎えの車は何故か240Zじゃなかったけど。(笑)

引越しの時には、どっかから2tトラックを借りてきて、小さな体で荷物を率先して運んでくれたっけ。
作業が終わって、質素なお祝いをしていたら、不意にトラックからギターを引っ張り出して皆で歌ったっけ。

鮫島ブラザーズと言ったら、この大きな街でも名の知れた一卵性双生児のアマチュアシンガーだった。
龍二さんはブラザーズの弟だ。なにせTVの喉自慢で優勝するんだから、誰もが認める実力だ。
一卵性だから生物学的には同じDNA、つまり同じ個体、同じ声。
だから、綺麗にハモってたなぁ。
そこに俺の下手くそなサードを交えて、三人でのアカペラ。(笑)
気持ち良かったなぁ。

走馬灯と言うけれど・・・。
留守電から流れるお兄さんの声を聴きながら、そんな出来事が次々と脳裏を過ぎる。
数々の思い出をくれた、酒と車と歌の好きな先輩だった。


享年40歳・・・。
葬儀も夢の中の出来事のようだった。

  ちょいと命、洗濯しねえとダメだって。
  胃潰瘍だってよ。

と「元気に」入院したのは、会社の定期健診の結果が出た後だから、その前の夏のこと。
あれから半年しか経っていないじゃないか!

病院と俺の家が近いこともあって、俺は何度も病院に足を運んだ。
そして、ご母堂と退院の挨拶に来てくれたのは、つい11月の終わりの話だ。

間抜けなことに・・・俺は龍二さんの病気が治ったんだと思って喜んだ。
そして・・・龍二さんが癌だったと知ったのは、お通夜の席だった。

龍二さんは知っていたそうだ。
なのに、見舞いに行くといつも笑ってくれた。
本当は痛かったはずだし、本当は辛かったはずなのに・・。
俺は知らなかった。

馬鹿だよ、龍二さんは。
死んじゃうって分かってたはずなのに。
冷たいよ、龍二さんはよぉ。
泣いて、弱いところ見せてくれたらよかったのに。

馬鹿だよ、龍二さんは。
煙草なんか吸ってさ。
兄さんを一人ぽっちにしてさ。
兄さんは今でも一人で元気に歌ってるじゃないか。
一卵性じゃなかったのかよ。
同じ個体じゃないのかよ。
龍二さんだって長生きできたはずじゃないのかよ。
こんなに早くにブラザーズ解散かよ。


兄さんも龍二さんと一緒で・・・

 酒が大好きで
 車が大好きで
 歌うのが大好きで

・・・でも、煙草吸わないから。



龍二さんが退院後にオーダーしたという念願のメルセデスは葬儀の翌日に届き、決して戻ることのない主の帰りを待ったそうです。
それなのに、馬鹿な僕は煙草を辞めることはありませんでした。
結局、僕が禁煙に踏み切るまで、その時から実に13年もの歳月を要することになりました。
煙草は、こんな悲しい事実を目の当たりにしても正しい判断をさせない、本当に悪魔の死向品と言ってよいと思います。


龍二さん、読んでくれましたか。
僕は今頃になってやっと龍二さんの死を無駄にしてはいけないと悟った大馬鹿野郎です。
でも、ここには、まだ遅くない人たちが一杯います。
この日記を読んで、一人でも多くの人が煙草を辞める気持ちを強めてくれたらと思い、記しました。

これからも皆を見守ってください。
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電信柱 2008-12-20 01:58:27
500日が経過しました。

3日は続かないだろうと思っていた僕が、今日ここに立てたのは、禁煙の森という強力な武器を得、その住民という絶対的な味方を得たことが大きな力になったことは疑う余地がありません。このことは何度感謝しても足りません。本当にありがとうございました。

あんた、既に卒煙だろ?
と思われている方も多いと思いますが、僕がまだ時折お邪魔させて貰っているのは、一つには恩返しのつもりで、もう一つはまだまだ危うい自覚があるからです。今でも禁煙開始当初の日記を読み返す度に、当時の苦しみが蘇り、切なく愛しくなると共に二度とあの苦しみを繰り返したくないと、背筋を伸ばすことができます。

恩返しと言いつつも、以前より出没回数やコメント数もかなり減り、申し訳ない気持ちもあるのですが、一方でいつまでも居座ることに違和感を感じないわけではありません。しかし、いざ退会!と大上段に構えるつもりもなく、暫くは今のスタンスで仙人が如く勝手気ままに散歩させて頂けたらと思います。新しく来られた方には奇異に映るやもしれませんが、どうぞお許しください。


今日はトーンを変えて電信柱について考察をしてみたいと思います。(笑)
考察と言いつつ、思い出話みたいなもんですのでお気楽に。

恥ずかしながら、十数年前に最初の禁煙に失敗するまでは、根性だけは唯一自分の中で自信めいたものがある部分でした。しかし、失敗によってその自信は脆くも崩れ、今日に至ります。(笑)
運動部の鍛錬など、肉体的能動的に試練に耐えるよりも、「吸わないを重ねましょう♪」的な「xxしない」という静的な修行は、より精神力を要求されるのだと、二度の禁煙が教えてくれました。

何かに耐える時、頑張る時、精神力を要求される時、これまで二つのキーワードが常に自分の中にありました。
 「宇都宮を思い出せ」
 「電信柱作戦」
前者は、高校時代の部活動の地獄の夏合宿が行われたのが宇都宮だったという他愛もない話です。あの極限を乗り切ったお前ならできる・・・と言うよくある心の拠り所です。(笑)

一方、僕らが小学生の頃は月曜の一限目は「道徳」の時間と決まっていたのですが、その「道徳」の教科書にはいろいろな逸話が紹介されており、今も心に残る話がいくつかあり、その一つに「電信柱」があります。

こんな感じの話だったと思います。
毎年行われる校内マラソン大会で、一度も完走したことのない少年がいました。
指導に当たった教師は、何とか彼に完走の喜びを経験させたいと毎日練習に付き合いました。そして、
   もうだめだと思っても、一つ先の電信柱までは走る
を約束させて、少しずつ記録を伸ばし、大会当日はついに完走したという話です。

幼い頃の自分はなかなか素直な美少年だったらしく(爆)、この話は「電信柱作戦」として胸に深く刻まれ、後々にいろんな場面で活躍してきました。この話が、彼の君原選手の有名な逸話を元に作られたと知ったのは大人になってからでした。

「電信柱作戦」は禁煙にも有効と思い、紹介しました。
一つに、喫煙欲求には波があるからです。もうだめと思っても、あと5分だけ我慢してみてください。次の電信柱まで行く間にきっと激しい吸魔は去るはずです。
また、目標設定は小刻みなほどモチベーションが維持できることも電信柱は教えてくれます。卒煙などと言う途轍もなく大きな目標を見据えるより、とりあえずの一日、三日、一週間・・・と小さな目標に向かって走る方が気楽なはずです。次の電信柱まで走れたら、きっとその次も行けるはずです。

大人は、学校や親などに強制して貰えるわけでなく、自己の精神のみで行動すべきことが多いですから、安易に逃げに走る機会は子供よりもずっと多い気がします。そんな時に、己を律する手段として、電信柱作戦は種々の場面で役立ちそうです。そして、電信柱を続けるほどに吸魔の攻撃の周期は長くなり、振幅も次第に穏やかになっていくはずです。

一概に比較できませんが、呼吸困難に陥りそうな状態で次の電信柱まで走り続けることと、喫煙欲求に5分耐えることのどちらが辛いでしょうか・・・。苦しさに耐えて走る少年よりも、禁煙に挑戦する中年の方がずっと楽な気がしませんか。(笑)
そう考えると、何だか僕らにもできそうな気がしてきませんか?

吸魔に襲われたら、5分だけ・・・。
5分我慢できたらまた5分だけ・・・。


喫煙欲求はそんなもんじゃない、甘い!と思われるかもしれませんが、実際に僕は、電信柱作戦でピンチを凌いだことが何度となくありました。つまり、この500日も電信柱の積み重ねだったりするわけです。

落ちそうな時・・・騙されたと思って、実際に時計と睨めっこしてみては貰えませんか。

5分だけ・・・
次の電信柱まで・・・
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365日目の景色  2008-08-06 15:46:27
あと6時間あまり・・・。
「くす玉」は僕のところにもやってくるんでしょうか。(笑)

でも、そのくす玉は僕一人の力で得たものではなく、森の皆と一緒に勝ち取った物だと思っています。
どれだけ皆さんに助けられたか、涙無くしては語れません。先週から何人もの方に、あと10日、あと1週間だねと早々にお祝いメッセを貰い、胸が熱くなりました。自分以上に待ち遠しく思ってくれている人がいると知り、驚くと共に感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。


今日は、これから禁煙を始める方、将に今苦しんでいる方の少しでも参考になればと思い、365日目を迎えた今、禁煙に対して思うことを書いてみたいと思います。長くなりますが、お許しください。


まず、実際の禁煙者や森の住民を一年見てきて、禁煙者が三つのグループに分かれる気がしてきました。

#1 禁煙セラピーだけで卒煙
   謳い文句の通り、禁セラ読むだけで卒煙できる人が確かにいるようです。
   本書では否定されていますが、繰り返し使われる文言には、ある種の催眠、暗示効果
   があるのではないかと想像します。

#2 一回目の挑戦で順調に卒煙
   スタート時点では辛そうな場合も多いですが、過去に失敗経験があっても森に来てか
   らは順調に卒煙していく。
   ニコチンからの離脱期間と言われた三週間前後に喫煙夢を見るケースが多い。

#3 鬱症状に悩んだり、何度かの挫折を経て卒煙
   人数比は最も多いと思われます。程度は個人差が大きく、さらに細分化されそうです
   が、なかなか楽にならなかったり、鬱症状を訴えて挫折を繰り返す場合もあります。
   理由はわかりませんが、最初の三ヶ月くらいまでに鬱で悩むのは女性が多く、男性の
   場合は、はっきりした自覚が無かったり、半年付近から弱く長く続く鬱に陥るケース
   が多いように感じます。僕もこのグループに属すと思われ、不安定な状態が開始後200
   日くらいから100日ほど続きました。

禁煙の森は、#3の人々にとって大きな心の支えになっており、「禁煙は一人では難行だが、励まし合う仲間の存在が成功に導く」ことを証明しているようです。将にネット社会の恩恵の最たるものの一つと言っても過言ではないでしょう。しかし、そうは言っても、仲間からの支えや精神論だけで必ずしも成功するとは限らず、程度の差こそあれ、禁煙鬱と呼ばれる障壁と戦わなければならないことが多いようです。

簡易的な説明では、鬱病は脳内神経伝達物質セロトニンの不足で発症すると言われます。
一方、ニコチンはセロトニンの代替物質として脳内で挙動するため、ニコチンを長期間継続摂取するとセロトニンの自己分泌力が低下してしまいます。その状態で禁煙すると、脳内ニコチン濃度が低下するために、実質的にセロトニン不足状態に陥って鬱症状を呈するというのが禁煙鬱のメカニズムと言われます。禁煙鬱は鬱病と同様の結果をもたらしますから侮れません。

僕はこれまで、あまりに辛そうな人を見かねて、
「よく頑張った。誰もがすごいと思ってる。これだけ頑張ったんだから一旦楽になって、また機会を見て立て直せばいい」
と「禁煙中断」を助言してきました。しかし、ひょっとすると素人判断による無責任な発言であった可能性もあることに気付きました。

禁煙 ⇔ 喫煙を繰り返すと、喫煙時には以前より本数が増え、禁煙時には鬱が悪化してしまう、所謂禁煙リバウンドを起こす場合があると言われます。禁煙中の脳は、しばらくサボっていたセロトニン自力分泌のリハビリ中なわけですが、ここでニコチン供給が再開されると「やっぱりセロトニンは不要なのか」とリハビリを中断します。この繰り返しが脳を疲弊させることは容易に想像できます。やがてセロトニン自力分泌が困難になり、最後には重度の鬱に発展しかねません。このように、リバウンドや禁煙鬱を甘く見てはいけない気がします。

従って、禁煙を始めるに当たっては、あらかじめ禁煙鬱に陥った場合の対応を考えておき、実際に鬱の症状を呈したら、迷わず心療内科などの専門医を訪れるべきだと思います。鬱は身体と心を蝕みますが、安易な喫煙再開はリバウンドを誘発し、重度の鬱を呼び込む危険があるわけですから、続かないと思ったら、挫折を繰り返す前に医師の指導を仰ぐべきと思います。パッチやガムなどの補助剤も薬局で買えるようになったとは言え、医師の処方無き安易なニコチン補給は同様の理由であまり賛成しません。もし許される環境にあるなら、初めから医師の指導の下で禁煙を開始した方が、結果的に近道になるとも思います。

・・・つづく
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関門 2008-06-30 17:36:28
決心した。
自信なんてほんの欠片も無かった。
でも行くことに決めた。

考えてみれば、生まれてこの方、自信を持って何かに臨んだことは・・・やっぱりない。(苦笑)
でも、自信を持たない自分が、何故か嫌いではない。
いい訳はともかく、本当に不安を一杯背負っての挑戦だった。
300日超えのメンバーの中で唯一と言って良いくらいに危うい存在の僕が、もしここで落ちたら・・・

     あいつにできるんだから、オレも頑張れる・・・

と歯を食いしばって頑張っている後続の住人たちは、落胆すると思った。
あるいは僕などを応援してくれている住民には何と申し開けば良いのだろう。
それでも僕は行く。

その場所は、禁煙開始までは飲み会の最後に訪れていたお気に入りの店。
しかし、300日を超えた僕を、あっと言う間に振り出しに戻してくれそうな煙の巣窟でもある。
賭けとも言えるけれど、いつかは通らなければいけない道だ。
ものごとには縁とか、タイミングとか、時期というものがあるだろう。
きっと今がそのタイミング。
そう言い聞かせた。

とんとんと軽やかに階段を下りて、一年振りの重たい扉を押す・・・。
煙の中に、いきなり懐かしい顔が目に飛び込んできた。
先週も来たんだっけ?と勘違いするような暖かな笑顔で迎えられ、心ごと抱き締められた気持ちがした。
カウンターに腰掛け、グラスに響く氷の音を感じながら辺りを見回すと、様々な顔が目に入ってくる。
あれはマルメンライト、こっちはケント1、そっちは・・・おぉハイライト、そしてセラムピアニ1・・・。
久しぶりに見る懐かしい顔、顔、顔・・・。
顔がないのは僕だけだ。

これまで考えもしなかったことが、一つ一つ新鮮に見えた。
煙草の取り出し方、火の点け方、指での挟み方、口に運ぶタイミング、消し方・・・
それらの全てが一致するような吸い方なんて一つもなさそうに見えた。
暫くの間、そんな観察をしていて、不意にどこか不思議な感じがすることに気がついた。

    何だろう・・・?
    俺か?
    それとも連中か?

それが何か、はっきり分からないけど、何かが奇妙だ。
違和感と言ってもいい。
恐らくは、僕だけが煙草を吸っていないことで、何となく座りが悪いのだろう。
なにせ、全員が喫煙者だ。
しかし、いつしか、そんなことも忘れていた。

その店は歌好きの集まる店で、プロ級やセミプロも多い。
暫くの間、他の客の美しい歌声や、顔見知りのバーテンとの会話に身を委ねた。しかし、彼のバーテンは僕が煙草を吸わなくなったことに全く気が付いていないらしかった。思い切って尋ねてみた。

    オレ、何か変わったと思わない?

寡黙なその男は、待っていたかのように微笑んだ。

    いつからですか?

気付いていたのか・・・。

    まもなく11ヶ月に・・・・なる

    時間、経つの早いですね・・

その時、漸く僕は気がついた。
止まり木に腰を下ろした瞬間から感じていた不思議な感覚・・・。
それに気が付いた瞬間、喜びとも、快感ともつかぬ、思わずほくそ笑みたくなるような、言い知れぬ感覚が湧き上がってきた。

    吸いたくなってないじゃん・・・

入店以来、ずっと客やスタッフの煙草ばかりに目を奪われてきた。
なのに、煙草を吸うということには全く関心がないことに初めて気が付かされた。

    平気だ、へーき
    全然へーき
    吸いたくないじゃん♪


それからどのくらいの時間が流れたろうか・・・。

    ありがとうございました

見送るスタッフに手を振る僕を、朝の柔らかい日差しが包み込んだ。
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300 2008-06-02 17:46:05
300日を迎え、僕も漸く板に付いてきた気がする一方で、当座の目標の「一年」を思うと既に第四角を回っていることにも気付かされる。スタート地点に立った時は、300日地点なんて影すらも見えなかったのに、不思議なことに、ここからはスタート地点が鮮明だ

「煙草奴隷カードtaspo」の導入を知ったことを契機に、俄かに十数年振りの禁煙を思い立ったのは昨年のある夏の日の夕刻だった。その瞬間から僕の闘いが始まったのだろう

    こんなカード作ったら生涯煙草を吸わされ続ける・・・

すぐさま以前から気になっていた「禁煙セラピー」を取り寄せ、続けざまに三度反読した。しかし期待の効果は得られず、半信半疑のまま最後の一本を捻り消すとほぼ同時に禁煙の森に登録、その日は早めに就寝した。床に就いて目を閉じると徐に、それまで封印してきた15年前の失敗の記憶が蘇り、自信は大きく揺らいだ

    やはり三日と持たないだろう・・・

心の底でそう感じながら目を閉じる
一方で後悔の念すら滲んできた

    二度と吸えないのか・・

寂寥感に抱かれて中々寝付けず、若き日の生意気な笑顔から始めて、過去の喫煙場面が次々と脳裏を駆け巡った。煙草なしでは成立しなかったはずの名シーンが走馬灯のように浮かんでは消えていく・・・胸が騒いだ

やがて朝を迎え、気持ちを新たに「せめて24時間!男の子!」と心に言い聞かせての出勤。しかし昼までの三時間は、どこまでも続く回廊を延々と歩かされているかのように感じた

    だめだめ・・
    ぜんぜんだめ!

午後になって、魂の叫びの如く込み上げてくる喫煙衝動に耐え切れず、終に挫折を覚悟した瞬間、日記を書くことに思い至った。仕事中であることを忘れて書き始めたのはいいが、再び15年前の事件を思い出し、悪いイメージばかりが頭を過ぎり、ネガティブな気持ちに拍車が掛かった。しかし、すぐに会議が控えていたことが幸いした

会議から戻って、いよいよ「最後の瞬間」が近づいていると悟った時、日記にコメントが付いていることに気が付いた

    なんて暖かいんだ・・・

恥ずかしかった
奴隷カードに怒り、「即断即決!」なんて半ば悦に入りながらセラピーを読み、森に登録、覚悟を決めて禁煙を始めたにも拘らず、こんなに簡単に諦めようとしていた自分の、あまりのかっこ悪さにはにかみながらお礼を書いた。すると少し楽になった

    おねむさんに免じて24時間だけは・・・

そう誓って帰宅したのに、あと2時間くらいのところで再び限界を感じて森に駆け込んだ。すると、驚いたことに新たなコメントが付いていた。お礼を書いているとまた落ち着いてきた。夕方と同じだった

何とか24時間を達成した頃、また波が来ていた。するとまたまたコメントが入った。お礼を書いている間にさらにコメントがやってくる。

    一日の終わりの一番良い時間だというのに、この瞬間に
    どこの誰かも知らないはずの僕を応援してくれている人がいる

そう思ったら頑張れる気がしてきた。その日も早めに床に就いた

翌朝は妙に目覚めが良かった
出勤して森を訪れると、いくつものコメントが出迎えてくれた
皆僕を応援し、そして褒めてくれている
単なる禁煙を越えた、言い知れぬ感動に言葉が思い当たらず、泣けてきた・・・

それから暫くの間、僕は森の住民に甘えまくった
挫折しそうになっては森で叫んだ
次々といろんな人が声を掛けてくれた。手を差し延べてくれた。その都度僕は救われた
甘え過ぎのはずの僕に誰一人苦言を呈するでもなく、空けて通してくれた。それどころか、相変わらず褒め、エールを送り続けてくれた

気が付いた時には、コメントへのお礼だけでなく、他の住民を励ます自分がいた。他者に偉そうなことを言ってる自分が挫折するわけにはいかないという気持ちが芽生えた。挫折しそうになると、自分が応援してきた人々のまだ見ぬ顔が浮かんだ。他者を応援することは、己の挫折を防ぐということを知った

こうして、森の住民に今日まで何度ピンチを救って貰ったろうか
そして僕は今晩、300日に到達する



皆さん、本当にありがとう
皆さんの応援がなかったら、僕はとうに挫折していたでしょう
微塵の自信もなかった僕が、どのようにして軌道に乗ったかを、これから禁煙を始める方、始めたけれど苦しんでいる方々の少しでも参考になればと思って記してみました


幾つかのラッキーや偶然もありましたが、禁煙の森という素晴らしいサイトを上手に活用することで、僕のような意思薄弱で、煙草への依存の高かった人間でも、300日も吸わない日々を積み重ねることができたのだと思います

僕にできるのだから、きっと誰にもできる
身も心も煙から開放される日が来ると信じて、これからも一緒に頑張りましょう

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200 2008-02-25 00:30:23
森に漂着してから200日が経過しました。
この1ヶ月ほど吸魔に頻繁に襲われ、森をバタバタと駆け回っていたのですが、今日、祝福メッセージを頂いて200日経過したことに気が付きました。ありがとうございました。

実はランクも達人になっていることに気付きました。
でも、僕はまだそのような領域には達していないので、戸惑うと共に大変驚いています。
たかがサイト内のランクと思われるかもしれませんが、ラパンさん、impulssさん、windさんと肩を並べるなど畏れ多いし、僕一人だけが挫折しそうな不安定なひよっこです。
そして、僕の知る範囲では残りのランクは名人だけですから、このまま森を駆け回っていると早晩到達してしまうと思います。でも、それだけは辞退したいです。最低でも一年は経過しないと・・・と思います。

ということで、暫くはコメントを若干控えめにします。
このところ、僕より日数が浅くても、僕よりずっと安定し、皆に上手にアドバイスできる方が多く見受けられるようになりました。なので、僕が少しくらい控えても大勢に影響はないでしょう。(笑)


その代わりではありませんが、今日は苦しむ住民への僕なりの助言を書いてみることにしました。

「煙草は禁断症状が強く容易には辞められない」
これは誰もが知っている「常識」だと思います。
でも、これは間違いであることをご存知ですか。
煙草の禁断症状など本当はわずかなものなのだそうです。
しかし、僕らは幼少の折から繰返し「禁煙は大変」と刷り込まれ、実際に禁煙に苦しむ人々を目の当たりにしてきましたから、洗脳され、強い暗示に掛かってしまっただけだそうです。だから、喫煙者は煙草が切れることを極端に恐れ、煙草が無くなれば、例え大雨が降っていようとコンビニに走ります。とにかく怖いのです。

「禁煙セラピー」はこの洗脳を解いてくれる本です。だから、読んだだけで卒煙してしまう人々が実在、いや多くいるのです。一方、森に集う我々はその解脱効果が薄かった人々だと思います。しかし、洗脳や暗示を完全に解くことはできなくとも、このメカニズムを知り、騙されていたんだと知ることは戦う武器になると思います。だから是非知っておいてください。煙草は吸わなくても平気なのです。禁断症状は暗示に掛かった自分が作り上げた幻影に過ぎないんだと言い聞かせましょう。

そして、もう一つ。
「お勧めの禁煙法」にも書いたことですが、挫折する際には、「これだけは守る!」と言うルールを作っておいてください。そして、日記での宣言をそのルールに加えてください。なぜ禁煙を始めたのか、そして禁煙を破ることは自分にとって何を意味するのかを冷静に考える時間を作り、最後に日記で禁煙中止を宣言します。ここは文字数制限があるので、詳しくは「お勧め」を読んでください。

少なくとも僕は、この自分で決めた「禁煙破りのための絶対ルール」に何度か救われました。
是非、最後の砦を作って、万一に備えておいてください。
コメント(88 )

182 2008-02-05 22:05:33
僕は社会人になってから今日に至るまでに、仲の良かった三人の同僚を癌で亡くしました。

そのうち一人は一卵性双生児の片割れ。同じDNAを持ち、生物学的には同一生命体であるはずの兄は、弟の死から10年以上経過した今も元気です。彼等の生活習慣上の大きな違いは喫煙だけでした。
また一人は日記に記したように、僕よりも若い後輩で、昨年秋のことでしたのでご記憶の方もいらっしゃると思います。思い出すと今でも胸が潰れる思いです。悔しくて悔しくて堪りません。

三人とも40歳前後という若い喫煙者で、いずれも「毎年強制的に受ける」集団健診で胃癌が見つかり、即入院・手術、しかし半年後には二度と会うことのできない世界の人となってしまうという共通の悲しい経緯を辿りました。僕自身はこれらの事実や、自分自身の考え方や経験から、毎年の定期的な胃部検査を拒否してきているので、過去も未来も定期健診で胃癌が見つかることはないのですが、彼等同様に突然癌でこの世から消滅することは覚悟の上で喫煙を続けておりました。喫煙者の多くがそうであるように、煙草に友人を殺されても、自らが煙草を止めようとは思いもしませんでした。

そんな僕が禁煙を始めるきっかけとなったのは、奴隷宣誓カード、ダメ人間カードなどと勝手に呼称(日記ログ参照)している成人認証カードの導入でした。何が哀しくて、奴隷番号が記され、顔写真まで貼られた、生涯煙奴隷を誓う様なカードを持ち歩かねばならないのだと不快感を覚えたことが発端となって禁煙セラピーを立て続けに三回読み、森に飛び込みました。それでも、初日の日記に書いたような過去の惨めな記憶も手伝って、プロフィールに書いたとおり、せいぜい三日が関の山だろうというのが正直なところでした。

そして今・・・あれから半年が経過しようとしています。

実は、このところ俄かに辛い日々が続き、毎日森を駆け回っています。にも拘らず日記を記す回数が減ったのは、日記の保存期間がが60日分だからです。嬉しいことに、もっと日記を・・・とメッセージを頂くこともあるのですが、僕には自身の初期の頃の日記がとても大切な記憶と記録となっており、消失するのは困るのです。今のように苦しい時に読み返すことで当時を思い出し、現在との違いを認識し、気持ちを新たにできるからです。今の辛さなど、当時の辛さに到底比肩することはありません。

この半年を振り返ると、様々なことがあり、いろいろな意味で密度の高い時間の流れを感じます。
日記に記してきたように、運転中に一瞬の睡魔に落ちて事故を起こしたり、禁煙が馬鹿馬鹿しく思えて森の人々に甘えて支えて貰ったり、逆に挫折しそうな先輩や同期を必死で励ましたり、あるいは支えきれずに自分の非力さを呪ったり、予期せぬ訃報に声も出ず、トイレで独り嗚咽したり・・・。

それでも僕はタバコを吸わない日々を重ねました。

森があるから。
どんな僕でも受け入れてくれる場所があるから。
仲間が居てくれるから。
僕の頑張りを心から喜んでくれる人がいるから。
自分はなかなか前進できなくても、それでも僕を支えようとしてくれる仲間がいるから。
一緒に喜び、そして涙してくれる仲間がいるから。

一人では登って来られなかった、ここまで・・・。

本来なら、コメントやメッセージで勇気付けてくれた住人の皆さん一人一人にお礼を言って巡りたい気持ちで一杯ですが、この場を借りてお礼の言葉を記したいと思います。

半年間、本当にありがとうございました。
そして、これからも宜しくお願いします。

僕は今、一年目指して折り返します。

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新幹線とカラオケ部屋 2008-01-26 01:37:02
半年を目前にして、今週の吸魔の攻撃は執拗で、苦しくて毎日のようにじたばたしていました。というか、森を駆け回っていましたので、目撃された方もいらっしゃるかも・・・苦笑

それでも、最初の頃に比べたらぐっと楽です。
吸魔は、深く鋭く、まるで抉るかのような攻めを見せているのですが、持続時間はどんどん短くなっている気がします。なので、煙草が近くにあったら危うかったかもしれませんが、幸いなことに身近に煙草がないので、結果的に手を出さずに済んでいます。

昨日は禁煙開始以来、初めて新幹線での出張でした。これまでですと、少し早めにホームに入り、缶コーヒーを片手に煙の充満した満員の喫煙小屋で慌しく二本くらいを吸い込んでいたのですが、今回からは傍観者の立場になりました。改めて傍観者として喫煙小屋を見ると、やはり滑稽というか、気の毒な感じさえ覚えました。

皆、吸わされているんだな・・・

煙草とセットでしか飲めなかった缶コーヒーも単独で楽しめるようになりましたから、今回は新幹線の中に持ち込めました。(これまでは煙草が吸えないので、列車内では飲めなかったのです。)

また、今日は会社の飲み会でした。
今回も事実上喫煙者はゼロだったので、恵まれた環境の飲み会でした。
こちらもだいぶ楽になってきました。二次会はカラオケにいきましたが、禁煙部屋が空いてなかったせいで、非常に煙草臭い部屋に通されてしまって参りました。皆よりも、先日まで喫煙者だった僕の方が匂いに敏感だった気がして、終始匂いに悩まされました。
そして、三次会。
昨年夏までなら、ここからお気に入りのお店に行くところなのですが、まだまだ喫煙率90%以上と思われる場所へ行く勇気はなく、カラオケ屋を出て帰路に就きました。

と、半年を前にしてまだまだ未熟者ですが、必ず半年クリアします。
辛いけど、ここまで来たら半年達成は楽勝です。(笑)

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三桁・・・そして飲み会 2007-11-17 19:18:07
昨日、ついに飲み会を解禁しました。
この三ヶ月は趣味の季節でもありましたので、それに便乗する形で飲み会参加を封印しておりましたが、100日を達成した昨日解禁としました。

勤務先の同好の士6名の集まりでしたが、喫煙者は一人で、宴会は暗黙裡に禁煙でした。会社関係の飲み会(一次会)は最近は殆ど禁煙になります。多くの場合、喫煙者は少数派ですから、自ずと遠慮しないといけない雰囲気になり、今では当たり前の風潮にあります。

なので、禁煙の飲み会なんて慣れているはずですし、第一今回は禁煙の身ですから一次会は全く心配していませんでした。ところが、腰を下ろした途端に吸魔が・・。
少し緊張したせいかもしれません。
それでも、ジャブ程度で吸魔は去ってくれました。

しかし、一次会が終わって外に出た途端に猛烈な吸魔に襲われ、執拗な攻撃を受けました。思わず、まだ一本も吸わずに我慢している唯一の喫煙者の某さんに強請ろうかと思うほど・・・。

想定はしていたものの、この三ヶ月で最大級の攻撃を受けるとは意外でした。
二次会に出ればゲームオーバーは確実と思われたため、参加するつもりだった二次会を欠席、まっすぐ家に戻りました。二次会に行きたかったのに・・・。
あぁ・・・。

不思議なことに家に着いても吸魔は去ってくれず、風呂に入り、お茶を飲んでみかんを剥いていたら漸く落ち着いた次第です。

まだまだ未熟さが否めない101日目でした。
来週の飲み会は何としよう・・・。


コメント(31 )

三ヶ月 2007-11-07 20:39:37
明日だとばかり思っていましたら、今日だったんですね
画像が替っていました。(^^)
幼い頃のサンタクロースよろしく、「自分のところにも来るんだろうか」と思っていたクラッカーの絵が目の前にあります。

禁煙の森に足を踏み入れた時には、恐らくせいぜい三日で去るものと思っていましたので、今日の日は想像だに致しませんでした。
実際に、今日を迎えるまでに投げ遣りになってしまった日もありましたし、事故を起こして凹んだ時もありました。後輩を癌で亡くして、タバコを心から憎いと心に刻んだ日もありました。また、もう禁煙など止めようと思って森に来て、住民の皆さんに助けて貰ったことも何度もありました。だから、ここまで来られたのは自分の力ではなく、森の住民の皆さんに出会えたからこそと思っています。
本当にありがとうございました。

まだまだ吸いたい気持ちが続いてて、毎日それなりに辛いのですが、それでも三ヶ月頑張れたんだと思うと素直に嬉しいです。
しかし、何十年も吸ってきて、まだたったの三ヶ月です。これで卒煙できたなどとは到底思えません。そんなに甘いものではないでしょう。これからも辛い時もあるだろうし、もしかしたら負けてしまうこともあるかもしれません。だけど、それでも諦めずに、卒煙目指して一日一日を積み上げて行きたいと思います。

これからも、宜しくお願いします。
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